Cow Composer
かんたんスタートガイド
日本の酪農現場のための牛群分析ソフト
このガイドを読めば、今日から繁殖検診が始められます。
農場ファイルの作成
最初の一歩。農場データの「入れ物」を作ります。
Cow Composerを起動する
restart_falcon.bat をダブルクリック(またはデスクトップのCow Composerアイコン)して起動します。
画面イメージ①:起動直後の農場選択画面
新規農場を作成する(3ステップ)
「新規農場を作成」ボタンをクリックすると、ウィザードが起動します。
-
1農場名を入力
農場名はフォルダ名になります(日本語OK・スペース不可推奨)。 入力後「次へ」をクリック。
データ保存先:C:\FARMS\{農場名}\farm.db -
2保存場所の確認
農場フォルダの保存先が表示されます。通常はそのまま「次へ」で進みます。 -
3個体登録テンプレートの出力(任意)
多頭数を一括登録したい場合はExcelテンプレートをここで出力できます。 急がなければ「スキップして完了」でOKです。
個体マスターの登録
牛を登録することで、すべての管理が始まります。
農場を開くと、左側にサイドメニュー、右側にメイン表示エリアが表示されます。
画面イメージ②:メイン画面の構成
方法① 1頭ずつ登録(導入)
新しい個体を1頭ずつ登録するときは、サイドメニュー「牛の管理 → 導入」を開きます。
個体カードに「+新規登録」のような操作はありません。個体カードは既存の牛の一覧・閲覧やイベント入力に使います。
参考:個体カード画面(牛の一覧・個体情報の確認・イベント入力に使用)
| 入力項目 | 説明 |
|---|---|
| 導入日・登録日 | 農場に入った日、繁殖指標の起点日(登録日が空欄のときは導入日に合わせます) |
| JPN10(10桁) | 個体識別耳標の番号。先に入力します。 |
| ID(自動) | JPN10を入力すると、正式10桁のうち拡大4桁に相当する部分から農場内ID(4桁)が自動設定されます。 |
| TAG(タグ) | 任意。農場独自の管理番号(耳番など)を付けたいときに使います。一覧・個体カードのタグと同じ項目です。 |
| 品種・生年月日 | わかれば入力 |
| 産次(lact) | 0=未経産、1以上=経産牛。繁殖検診・妊娠率に直結する重要項目。 |
| 分娩月日・最終授精日・授精回数・受胎の有無・PEN など | わかる範囲で入力すると、導入直後から繁殖管理が正しく動きます |
画面イメージ③:導入入力画面
方法② Excelで一括登録
- 1「テンプレートを出力」でExcelファイルを保存
- 2Excelに個体情報を入力して保存
- 3入力済みファイルを選択して「取り込む」をクリック
イベントの入力
分娩・授精・妊娠鑑定など、牛に起きた出来事を記録します。
イベントの入力方法
-
A個体カードを開く → 対象牛を選択 → 「イベント入力」ボタン
-
Bサイドメニュー「牛の管理 → イベント入力」から直接入力
主なイベント
config_default/event_dictionary.json)で確認してください。| 番号 | 略称 | イベント名 | カテゴリ |
|---|---|---|---|
| 200 | AI | 人工授精 | 繁殖 |
| 201 | ET | 受精卵移植 | 繁殖 |
| 202 | CALV | 分娩 | 分娩 |
| 203 | DRY | 乾乳 | 管理 |
| 204 | STOPR | 繁殖停止 | 管理 |
| 205 | SOLD | 売却 | 管理 |
| 206 | DEAD | 死亡・廃用 | 管理 |
| 208 | BLV | BLV検査結果 | 健康 |
| 302 | PDN | 妊娠鑑定マイナス | 繁殖 |
| 303 | PDP | 妊娠鑑定プラス | 繁殖 |
| 304 | PDP2 | 妊娠鑑定プラス(直近以外) | 繁殖 |
| 305 | ABRT | 流産 | 繁殖 |
| 306 | PAGN | PAGマイナス | 繁殖 |
| 307 | PAGP | PAGプラス | 繁殖 |
| 601 | MILK_TEST | 乳検 | 乳検 |
| 611 | MOVE | 群変更(PEN移動) | 管理 |
特殊入力が必要なイベント(詳細)
画面イメージ④:分娩イベント入力
| 入力項目 | 選択肢 |
|---|---|
| 分娩難易度 | 1:自然分娩 / 2:介助 / 3:難産 / 4:獣医師による難産 / 5:帝王切開 |
| 双子チェック | 双子の場合はON |
| 子牛性別 | ♀ / ♂(子牛ごとに選択) |
画面イメージ⑤:AI入力
| 入力項目 | 説明 |
|---|---|
| 授精師 | 「農場設定 → 授精設定」で登録したコードから選択 |
| 授精種類 | 自然発情 / CIDR / OvSynch 等(種類コードは英字。事前に「授精設定」で登録) |
| 精液(種雄牛) | 省略可 |
直近のAIが受胎した場合に使います(最も一般的な妊娠鑑定プラス)。
画面イメージ⑥:妊娠鑑定プラス(PDP)
直近のAIではなく、それより前のAIが受胎していた場合に使います。
例:「ひとつ前のAIで実は妊娠していた」
画面イメージ⑦:妊娠鑑定プラス(直近以外)
画面イメージ⑧:妊娠鑑定マイナス(PDN)
PAG(妊娠関連タンパク質)血液検査の結果を記録します。
| イベント | 入力項目 |
|---|---|
| PAGプラス(307) | 性別(♀/♂、わかれば)、双子チェック |
| PAGマイナス(306) | なし(日付のみ) |
| イベント | 効果 |
|---|---|
| 繁殖停止 STOPR(204) | 繁殖コード「1:繁殖停止」となり、繁殖検診対象から外れる。AIを入力するかSTOPRを取り消すと解除。 |
| 売却 SOLD(205) | 牛群から除籍。個体カードが赤く表示される。繁殖検診・妊娠率の計算対象外。 |
| 死亡・廃用 DEAD(206) | 同上。 |
各種設定(繁殖検診の準備)
設定をしないと繁殖検診は始められません。まず最初に行いましょう。
画面イメージ⑨:農場設定メニュー
授精師の登録
| コード | 授精師名(例) |
|---|---|
| 1 | 佐藤 |
| 2 | 山田 |
授精種類の登録
| コード | 授精種類名(例) |
|---|---|
| A | 自然発情 |
| B | OvSynch |
| C | CIDR |
授精師のコードは数字でも構いません。授精種類のコードは半角英字のみ(数字不可)です。混同に注意してください。
群(PEN)のコードと表示名を登録します。
| コード | PEN名(例) |
|---|---|
| 1 | Lactating 1 |
| 2 | Lactating 2 |
| 3 | Dry |
| 4 | Heifer |
各検診区分のON/OFFと日数閾値を設定します。
画面イメージ⑩:繁殖検診設定
| 検診区分 | 対象牛の条件 |
|---|---|
| フレッシュチェック | 分娩後N日以上経過し、まだ検診を受けていない牛 |
| 繁殖検査1 | フレッシュ後、AI/ET歴がない牛 |
| 繁殖検査2 | AI後に妊娠鑑定マイナスがあり、現在オープンの牛 |
| 妊娠鑑定 | 最終授精からN日以上経過した牛 |
| 再妊娠鑑定 | 妊娠中で、最終授精からN日以上経過した牛 |
| 分娩予定超過 | 分娩予定日からN日以上超過した牛 |
| 育成繁殖1 | 月齢N以上でAI歴なし(未経産牛) |
繁殖検診で使う「処置プログラム」を定義します。各処置には「コード」「名前」「薬品プロトコル」を設定します。
画面イメージ⑩-1:繁殖処置設定(処置一覧・プロトコル・使用薬品)
| コード(例) | 処置名 | 使用薬品 |
|---|---|---|
| 1 | WPG | PG注射 |
| 2 | CIDR | 膣内留置 + GnRH |
| 3 | OvSynch | GnRH → PG → GnRH |
繁殖処置で使用する薬品の製品名と単価を登録します。
画面イメージ⑩-2:農場薬品設定(PG・GnRH・処置料)
| カテゴリ | 登録例 | 最大数 |
|---|---|---|
| PG製剤 | エストラメート、プロネスト | 3種 |
| GnRH製剤 | ファーティレリン、コンセラール | 3種 |
| 膣内留置製剤 | CIDR、PRID | 3種 |
| その他 | 任意薬品 | 5種 |
| 処置料 | 超音波検査、筋肉注射、膣内留置、薬治 | 各1 |
農場の目標値を設定します。ダッシュボードグラフに「目標ライン」として表示されます。
繁殖検診をやってみよう!
獣医師の方へ。繁殖検診の流れをステップで解説します。
画面イメージ⑪:繁殖検診フロー画面
「繁殖検診表」→「開く」をクリックします。設定した日数閾値に基づき、今日の検診対象牛が一覧で表示されます。
画面イメージ⑫:繁殖検診表(一覧)
| 列 | 見方 |
|---|---|
| 分娩後日数/月齢 | 分娩からの経過日数(自動計算) |
| 前回検診結果 | 前回検診時の結果コード(GNNS・WPGCFR 等) |
| 最終AI日/ET日 | 最後に授精・移植を行った日付 |
| 授精後日数 | 最終AI/ETからの経過日数 |
| 検診コード | 今日何をすべきか(フレッシュ1・繁殖1・妊娠鑑定・再妊 等) |
※ 同じフロー画面の「AI/ET」等の別カードにはテンプレ/吸い込みがありますが、検診表用ではありません。
「繁殖検診入力」→「開く」→ 検診日を入力して「抽出」ボタンを押します。対象牛が一覧表示されます。
画面イメージ⑬:繁殖検診入力画面
「処置/結果」コードの使い分け(重要!)
| コード | 意味 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| 2 | フレッシュチェック | フレッシュ区分の牛を検診 |
| 3 | 繁殖検査実施 | 繁殖検査1・2の牛を検診 |
| 4 | 妊娠鑑定マイナス(PDN) | 妊娠していなかった |
| 5 | 妊娠鑑定プラス(直近AI) | 直近のAIで妊娠確認 |
| 6 | 妊娠鑑定プラス(直近以外) | 以前のAIで妊娠確認 |
| 7 | PAGマイナス | PAG検査で陰性 |
| 8 | PAGプラス | PAG検査で陽性(妊娠確認) |
「レポート出力」→「開く」→ ダイアログで検診日を指定し、「繁殖レポート」にチェックを入れてOKを押します。ブラウザにHTMLレポートが開きます。「集計」ボタンはありません。
画面イメージ⑭:繁殖検診レポート
| 指標 | 見方・目標 |
|---|---|
| 妊娠率(21日PR) | 21日サイクルごとに妊娠した割合。目標20%以上。 |
| 受胎率 | AIした牛のうち妊娠した割合。目標40%以上。 |
| 授精実施率 | 繁殖対象牛のうちAIされた割合。目標60%以上。 |
| 種類別受胎率 | プログラム別の効果比較。 |
獣医師ポイント:妊娠率が低い時の原因分析
妊娠率(21日PR)= 受胎率 × 授精実施率
▸ 授精実施率が低い → 発情発見・タイミング同期の問題
▸ 受胎率が低い → 授精技術・牛の健康状態・栄養・熱ストレスの問題
レポートで「どちら」が引き下げているかを見極めることが改善への第一歩です。
ルーチンの評価:ダッシュボード&レポート
牛群全体を俯瞰して、改善のヒントを見つけます。
画面イメージ⑮:ダッシュボード
| 表示内容 | 意味・活用法 |
|---|---|
| 経産牛頭数・妊娠牛割合 | 牛群の概要を一目で把握 |
| 21日妊娠率グラフ | 18サイクル分の繁殖効率推移。右肩上がりなら改善中。 |
| 泌乳段階別頭数分布 | フレッシュ・ピーク・後期・乾乳のバランス確認 |
| 牛群動態(頭数推移) | 月ごとの導入数・除籍数・分娩数の棒グラフ |
こんなこともできます!
繁殖管理以外の便利な機能をご紹介します。
データ管理 → データ吸い込み → 乳検
データ管理 → データ吸い込み → ゲノムインポート
帳票・分析 → ダッシュボード
個体チェック → 長期空胎チェック
個体チェック → 分娩超過チェック
まとめ:最初の1週間でやること
このスケジュールに沿って進めれば、1週間で稼働できます。
困ったときは
よくある問題と解決策をまとめました。
| 症状 | 確認ポイント |
|---|---|
| 繁殖検診表に牛が出てこない | 繁殖検診設定で該当区分がONになっているか / 産次(lact)が正確か確認 |
| 妊娠率が計算されない | 経産牛(lact≥1)が登録されているか / サイクルが成立する期間のデータがあるか確認 |
| AIのプルダウンが空 | 農場設定 → 授精設定 で授精師・授精種類を登録する |
| 繁殖コードがおかしい | 個体カードのイベント履歴を確認し、入力ミスのあるイベントを修正する |
| DIM(分娩後日数)がゼロ/おかしい | 最終分娩イベント(CALV)が正しく登録されているか確認 |